【ワシントン時事】新型コロナウイルスの感染者数・死者数が世界最多の米国で、緊急使用許可の下りたワクチンの接種が続いている。ただ、ワクチンが国民に広く行き渡るには時間を要し、それまでの感染対策が封じ込めのカギを握る。しかし、クリスマス休暇に伴う人の移動増加で、感染拡大に拍車を掛けると懸念する声も強い。
 米国の感染症対策の権威とされるファウチ国立アレルギー感染症研究所長は、24日のニューヨーク・タイムズ紙(電子版)とのインタビューで「正確な数字は分からないが(国民の)70~90%」がワクチン接種を受ければ、ウイルスを封じ込める「集団免疫」ができると指摘。従来提唱されていた「60~70%」より多くの人に接種する必要があるという見解を示した。
 疾病対策センター(CDC)によると、23日朝の時点で各地に配送されたワクチンは約950万回分で、うち接種されたのは100万回分余り。トランプ政権は年内に2000万回の接種を目指しているが、ホワイトハウス高官は米メディアに「(接種ペースは)われわれが想定したより遅い」と認める。国民に広くワクチンが普及するのは、来年半ばごろとみられている。
 ワシントン・ポスト紙(電子版)の集計によれば、米国の新規感染者数は今月上旬以降、1日当たり平均20万人を超え、死者数も同2500人を上回っている。合計すると、米国の死者は30万人を既に超えた。最近1週間でみた人口当たりの感染者数は、南部テネシー、西部カリフォルニア、西部アリゾナの各州などが多い。
 同紙によると、米国内ではCDCによる旅行自粛の呼び掛けにもかかわらず、先週末の3日間で計300万人以上が航空機を利用。新型コロナの流行が本格化して以降で最多を更新した。最近の感染者数増加は、11月の感謝祭休暇に伴う人の移動活発化が背景にあるとも言われ、年末年始以降に感染拡大がさらに加速するのではないかと懸念が広がっている。 (C)時事通信社