新型コロナウイルスのPCR検査を格安で受けられる民間施設に予約が殺到している。年末年始、離れて暮らす親元などへの帰省を前に、感染していないことの証明を求めた行動の表れと思われるが、専門家は「安全を保証するものではない」とくぎを刺す。
 民間の検査センターは、感染が疑われる濃厚接触者などが受ける行政検査と異なり、無症状の人が自費で受ける。薬局や通信販売で購入したキットを郵送する形式もある。秋口以降、数千円で受けられる安価な施設が次々オープンした。
 住宅事業や医療法人を傘下に置く木下グループは東京都内2カ所に検査センターを開設。1日当たり計約2000人の検査が可能で、費用は税別2900円。24日時点で約1万9000人が利用し、既に年明けまで予約が埋まっているという。
 新宿区にある検査センターに並んでいた名古屋市出身の公認会計士山本高揮さん(49)は顧客に会う機会が多く、2週間おきに検査を受けているという。この日は帰省前で、「親も80代だし、久々に顔を見て安心したい」と話した。山口県に帰省する大学生(18)は「オンライン授業で友達もできず、年末は帰りたい。検査を条件に帰省を許された」と明かした。
 福岡市から単身赴任中の西田宏治さん(41)は「8歳と5歳の子供に1年会っていない。『パパ帰ってくるの』と聞かれ、受けることにした」。一緒に並んでいた同僚の金築俊彰さん(44)は、島根県の両親から「周囲の目があるから陰性でも帰るな」と言われたという。「いろいろ直接話したいこともあったのに」と寂しげだった。
 昭和大の二木芳人客員教授(感染症学)は「陰性でもあくまで検査時に感染していないだけで、帰省まで間が空けばリスクは同じ」と指摘。誤判定や精度のばらつきなどにも触れ、「結果を免罪符に会食などを繰り返せば、むしろ危ない。どうしても帰省するなら、判定後も十分な注意を」と呼び掛けた。 (C)時事通信社