【シドニー時事】オーストラリアは、新型コロナウイルスの感染抑制の取り組みで成果を挙げている。地理的な利点を生かした水際作戦に加え、徹底した検査と追跡調査の2段構え。来年3月に開始を予定するワクチン接種につなげたい考えだ。
 「約3万8000人が検査を受けた。これは(過去最高の)記録だ」。モリソン首相は21日、シドニー北東部で12月半ばにクラスター(感染者集団)が発生した後の州政府の対応を高く評価した。このクラスターに関連した新規感染者は20日に約30人まで増えた後、減少に転じた。
 世界保健機関(WHO)によると、人口100万人当たりの感染者は豪州が約1100人。日本の約1700人より少なく、米国の約5万5000人や英国の約3万3000人を大きく下回る。
 豪州は3月から厳格な出入国規制に踏み切り「ウイルスを持ち込まない」対策を強化した。国内での対策は地方が主導し、感染者が出た地域の州政府は連日、テレビなどを通じてコロナの検査を促す。検査は基本無料だ。結果が陽性となり隔離が必要になっても、収入がなくなった人には1500豪ドル(約12万円)の一時金が支給されるため、人々は検査をためらわない。
 対策では技術力も駆使する。生活排水を監視して、大便に潜むウイルスの検出に努める。飲食店などでは「QRコード」を使い来店客を記録。感染が起きた時には分析ソフトウエアを使い、感染が広がりそうな場所を予測する。
 感染抑制に成功しているため、国民の期待の高いワクチンの接種を急いでいない。ハント保健相は海外の接種状況を見極めながら、安全を確保した上で「2021年中に無料で自主的な形で全ての国民に接種する」と説明している。 (C)時事通信社