【シリコンバレー時事】新型コロナウイルスの流行に伴い、米国でフィットネス体験のデジタル化が加速している。休業を余儀なくされたスポーツジムが相次いで経営破綻に追い込まれる中、隙間時間に自宅でできる利便性を売りに利用者を拡大。業種の垣根を越えた競争が激化している。
 IT大手アップルは14日、筋力トレーニングやヨガなどインストラクターによるレッスン映像を配信するサービス「アップルフィットネス+(プラス)」を始めた。料金は月額9.99ドル(約1040円)。腕時計型情報端末「アップルウオッチ」と連携させ、個人の運動履歴に合わせた提案もする。
 在宅フィットネスの先駆けとなったのは、2012年創業の新興企業ペロトン・インタラクティブだ。専用のエアロバイクやランニングマシンを販売し、レッスン映像を配信する月額課金型サービスを展開する。最も安い機器でも1895ドルと高額だが、外出規制で会員が急増し、「納品に遅れが生じている」(同社)という。
 再編の動きも活発化している。ペロトンは21日、ジム向けフィットネス機器大手プリコーを買収し、米国で機器の生産能力を増強すると発表した。自宅用フィットネス機器を展開する新興企業ミラーは今夏、カナダのスポーツウエア大手ルルレモン・アスレティカに買収された。
 一方、スポーツ用品大手ナイキは3月、コロナの感染拡大を受けて、自社のフィットネスアプリの利用を無料化した。消費者との接点強化の一環と位置付けており、実際にナイキブランドのオンラインの売り上げは前年同期比8割前後の高い伸び率で推移している。
 同社のドナホー最高経営責任者(CEO)は今月18日の電話会見で、「デジタルは消費者行動のニューノーマル(新たな日常)であり、この傾向は続く」と語った。 (C)時事通信社