【ベルリン時事】新型コロナウイルスをめぐっては、各国が自国の感染封じ込めに手いっぱいな上、政治的思惑も絡み、国際協力は不発の状況だ。世界保健機関(WHO)は米中対立に翻弄(ほんろう)され、ウイルスの「起源」でも押し付け合いが続く。ワクチンも先進国が先を争って確保し、途上国と格差が生じている。
 5月のWHO年次総会では、「WHOは中国寄り」で、新型コロナの被害拡大を招いたとするトランプ米大統領に各国が配慮。WHOや国際社会の初動対応検証で合意したが、最も重要な足元の封じ込め対策の協議に使われるべき労力が、米国をなだめることに費やされた。結局、閉幕の10日後には、トランプ氏はWHO離脱を表明。総会の努力は徒労に終わった。
 一方の中国も、WHO非加盟の台湾の総会へのオブザーバー参加を強硬に拒否。封じ込めに世界で最も成功している例に挙げられる台湾の不参加に、専門家らから多くの疑問の声が上がった。
 ウイルスの起源をめぐっては、WHOは中国政府との交渉の末、来年1月の武漢への調査団派遣で合意。ただ、責任を追及されるのを避けたい中国は、全体の割合から見ればまれな輸入冷凍食品からのウイルス検出例をアピールするなど、国外で発生した可能性も示唆。調査で透明性がどの程度確保されるかは定かでない。
 ワクチンでは、製薬会社に多大な資金を支払える米欧の先進国は、人口を上回る分量を確保し、既に接種も始まった。WHOが主導するワクチン共同調達の枠組み「COVAX」は途上国で来年1~3月の配布開始を目指すが、調達目標は全人口の2割分で、集団免疫が獲得できるとされる6~7割には遠く及ばない状況だ。 (C)時事通信社