東京都からの転出者が転入者を上回る「転出超過」が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大で企業のテレワーク導入が広がったことなどが背景だ。東京一極集中の是正につながるかが注目されると同時に、地方間で移住者獲得に向けた競争が起こるとの指摘もある。
 総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、緊急事態宣言発令後の2020年5月、外国人を含めて集計を始めた13年以降、都で初めて転出超過に転じた。6月にいったん転入超過に戻ったが、7月以降は5カ月連続で転出が超過している。
 中でも、埼玉、千葉、神奈川各県への転出が多いのが特徴だ。テレワークの普及で通勤回数が減ったことで、趣味との両立やより良い住環境を求め、通勤圏内の東京近郊への関心が高まったとみられる。
 神奈川県逗子市では、空き家利用を希望する都内在住者が増加。同市は移住に使える住宅取得補助などを実施しており、市の担当者は「移住に伴う補助制度や子育て支援に関する問い合わせも増えている」と話す。
 政府もこうしたニーズに応じた喚起策に躍起だ。東京23区の在住者らが地方に移住した場合、最大100万円を支給する支援事業について、転職せずにテレワークで東京での仕事を続ける人も対象に加えるなど、地方創生を後押しする施策を相次ぎ打ち出している。
 ただ、人の移動が多いのは就職や進学に伴う3、4月。20年はこの両月で都内への転入超過が4万4731人に上った。5~11月は計1万6822人の転出超過だが、年間では転入者数が上回る見通しだ。
 みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員は「若い世代ほどリモート化を支持しており、コロナ収束後も東京から人が移動する傾向は続く可能性がある」と分析。その上で「東京からの移住者獲得に向けた競争時代が訪れる可能性もあり、各地方は戦略を問われるだろう」としている。 (C)時事通信社