新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようと、菅義偉首相が4日、首都圏1都3県への緊急事態宣言を検討すると表明した。各知事は飲食店の営業時間短縮要請を決定。新年会シーズンへの打撃を警戒する首都圏の居酒屋などでは悲鳴が相次いだ。一方で年末年始も対応に追われた医療機関や介護施設からは歓迎の声に交じり、「もっと早くすべきだった」と批判も上がった。
 例年なら仕事始めのサラリーマンが集う夜の東京・新橋。営業する飲食店はまばらで、駅前繁華街の人通りににぎわいはない。
 おでん店の40代男性店主は「窓を開けるなど感染対策はやっており、これ以上は無理。なぜ飲食店だけなのか。本当に困る」と悲痛の表情を浮かべた。1都3県では8日から31日まで飲食店に対し、午後8時までの時短営業要請が出される。「客が増えるのは午後6時から。2時間でどうすれば売り上げが出せるか分からない」と頭を抱えた。
 帰宅途中の会社員荒川剛史さん(59)は「時間制限より人数制限の方が効果があるのでは。政府の対応は行き当たりばったりだ」と批判。5日の営業開始に備え準備をしていた串焼き店の40代男性従業員は「商売的には厳しく残念。ただ、お客さんには感染してほしくない」と複雑な心境を明かした。
 体制確保に追われる医療機関では期待とともに冷静に受け止める声も聞かれた。
 発熱外来を設けている「かない内科」(千葉市)では、年明け以降、診察患者が昨年末の数倍に急増。金井哲也院長は「基本的に賛成だが、もう少し早く発令すべきだった」とほぞをかむ。
 患者ら計35人の院内感染が確認された千葉県柏市の市立柏病院の野坂俊寿院長は「患者が増えている印象で、再発令は仕方ない」と指摘。「宣言ですぐに収まるわけではないが、やりくりするしかない」と冷静に受け止めた。
 高齢者施設では歓迎の声が上がった。昨年にクラスター(感染者集団)が発生した埼玉県朝霞市の老人ホーム「ラヴィーレ朝霞」の広報担当矢板菜穂美さんは「感染拡大に歯止めがかかればうれしい」と前向きに受け止めた。同県戸田市の市立介護老人保健施設の大越法之事務長代行も「人の流れが止まれば拡大も抑えられるのでは」と効果を期待した。 (C)時事通信社