【ワシントン時事】米国で先月始まった新型コロナウイルスのワクチン接種で、重症化リスクの低い若年層への投与量を通常の半分に減らす案が、政府内で浮上している。計画より大幅に遅れているワクチン接種を少しでも加速させるのが狙いだが、投与量を減らして効果を維持できるかなど、クリアすべき難題も多い。
 米政府のワクチン開発・配布を統括するスラウイ首席科学顧問は3日、CBSテレビのインタビューで、米バイオ医薬品企業モデルナ開発のワクチンを「18~55歳に対しては、(通常投与する)半分の量を接種すれば(従来の)2倍の人が免疫を得られる」と指摘。投与量を減らしても「同等の免疫反応が起きる」と語った。既にモデルナや食品医薬品局(FDA)と協議しており、FDAが可否を最終判断するという。
 ただ、FDAは4日の声明で、ワクチン投与量の変更などについて「時期尚早であり、しっかりした証拠に根差していない」と指摘。効果や安全性などに関する十分なデータがない限り、接種方法の変更は支持できないという見解を示した。
 スラウイ氏の提案の背景には、ワクチン接種が計画通りに進んでいない現状がある。疾病対策センター(CDC)によれば、米国内で4日までに配布されたワクチンは約1540万回分で、うち投与されたのは約456万回。政府が掲げた「2020年末までに2000万回接種」の目標には程遠い。
 トランプ大統領は昨年12月30日、ツイッターに「連邦政府はワクチンを州に配布している。接種するのは州だ。先へ進め」と投稿。接種の遅れは州に責任があると暗に主張した。
 一方、州や郡の保健当局は財源不足に見舞われている上、ワクチンを受け取る時期や量、優先接種の対象選定などで連邦政府と十分に連携できていないことが、計画の円滑な実施を妨げる一因とも指摘される。クリスマス休暇で医療機関の稼働時間が減ったことも、計画の遅れの背景にあると伝えられている。 (C)時事通信社