新型コロナウイルスの感染対策に世界各地が苦しんでいる。罰金、支援金、そして転業資金とアメとムチが交錯する。
 ◇欧州
 英政府は4日から、イングランド全土で3度目となるロックダウン(都市封鎖)を実施している。飲食店や生活必需品以外を扱う店舗は営業停止、不要不急の外出も禁止された。合理的な理由なしに外出した場合は初犯で200ポンド(約2万8000円)、最大6400ポンド(約90万円)の罰金が科される。
 英政府は同時に、小売りや飲食、観光などの企業に対して1店舗当たり最大9000ポンド(約126万円)の支援金を支払うと表明。従業員の賃金の8割を肩代わりする以前からの制度も4月末まで延長した。
 スナク財務相は「これは企業が今後数カ月を生き延びるのに役立つだろう」と強調。これに対し、飲食・観光の業界団体UKホスピタリティーは「ばんそうこうにすぎず、不十分だ」と訴えている。
 フランス政府は昨年12月、買い物や運動などの移動制限を緩和する一方、全土で夜間の外出を禁止した。違反者には135~3750ユーロ(約1万7000~約48万円)の罰金が科される。
 昨年10月末から休業が続く飲食店の営業再開は、当初予定の12月から1月20日へ先延ばし。しかし、感染者数は減らず、再延長の可能性が高い。政府は休業した企業に月額1万ユーロ(約130万円)の補償金を給付している。
 ◇米国
 感染者、死者とも世界最大の米国は、連邦政府の対応が後手に回る中、各州のコロナ対策では与党共和党と野党民主党の対立も鮮明になった。共和党が知事を握る州では比較的規制が緩やかで、経済活動再開へ規制緩和も積極的に行われた。これに対し、民主党が知事を握る州では厳しい規制が課され、緩和も慎重に進められる傾向があった。
 マスク着用も一定数は今も効果を信じていない。冬になり感染はさらに拡大し、全米各地で規制が再び強化されている。
 昨年末には1人最大600ドル(約6万2000円)の現金給付や中小企業の雇用維持支援の助成制度を盛り込んだ経済対策が成立した。ただ、財政負担が膨らむ自治体は連邦政府の支援を繰り返し訴えてきた。クオモ・ニューヨーク州知事は「州が破産すれば国も破産する」と警告している。
 ◇アジア
 台湾は徹底した水際対策で、感染抑え込みを続けている。海外から台湾に入った人を対象に、指定ホテルや自宅での2週間の隔離を原則的に義務付け、違反者には最高100万台湾ドル(約370万円)の罰金支払いを含む厳しい罰則を適用。隔離期間終了後も、1週間の自主健康管理を義務付け、大勢の人が集まるイベントなどへの参加を禁止している。実効性を高めるため、昨年末からは携帯電話事業者や警察当局の協力を仰ぎ、対象者の行動管理の強化に着手した。
 シンガポールも市中感染の抑制にほぼ成功したが、外出時のマスク着用や外食時の人数制限(現行8人まで)など罰則を伴うコロナ対策が維持されている。政府が「感染リスクが高い」と特に警戒するのが、バーやクラブ、キャバクラで、昨年3月から営業を原則禁止してきた。
 一部の営業再開は認めるが、来店客への感染検査を義務付けるなどハードルは高い。事業者からは「現実的でない」と悲鳴が上がっており、政府は転業なら最大5万シンガポールドル(約390万円)、廃業なら3万シンガポールドル(約230万円)を補助して後押しする。この結果、接待を伴う飲食店が一時消滅する恐れがあると指摘されている。 (C)時事通信社