新型コロナウイルス感染者の国内初確認から1年がたった。2度目の緊急事態宣言が発令される現在、マスクや保健所職員など、深刻な不足が叫ばれたモノやヒトはどう変わったのか。
 各地で売り切れが相次いだマスク。メーカーでつくる日本衛生材料工業連合会によると、国内の生産数は現在、コロナ前の約4倍に増加。中国以外の輸入元も開拓されており、担当者は「今は潤沢に供給できる。買いだめの必要はない」と胸を張る。
 一方、治療などに用いる使い捨て手袋は不足気味で、価格も高騰。コスト面から国内製造は難しく、工場が集中する東南アジアからの輸入に頼る状況が続く。販売元の担当者は「世界的な需要増大で仕入れが追い付かない」と漏らした。
 重症患者の命をつなぐ体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)や人工呼吸器を扱う臨床工学技士。日本臨床工学技士会の担当者は「さらに感染者が増えれば、対応できなくなる」と懸念する。全国で約3万5000人が活動するが、多くは人工透析が専門だ。エクモを扱う研修も、オンラインでは実習ができず難航している。「人材育成には数年かかる」。担当者の危機感は募る。
 水際対策の最前線に立つ空港の検疫官は、業務量は増えたものの、入国可能な5空港に他の空港の職員を回すなどしてやりくりしている。厚生労働省は来年度採用数を3倍にする予定で、往来の本格再開に備える。
 医療現場と並び人員が逼迫(ひっぱく)する保健所では、感染経路を追う疫学調査や相談など、膨大な業務に人手が追い付かない状況が続く。求人しようにも保健師は取り合い。神奈川県は人員不足から、感染経路追跡の対象簡略化に踏み切った。
 そんな中、埼玉県はこの冬、保健師38人の追加採用を決めた。業務負担の軽減や年齢制限の撤廃で環境を整備し、正職員採用とした結果、定員を超える応募に成功した。採用担当者は「増加を見越して早くから準備してよかった」と胸をなで下ろす。一方、新宿区は非正規の保健師募集のみで、厳しい状況が続く。担当者は「コロナ収束後を考えると、正職員を人海戦術のために雇うことは難しい」と説明した。 (C)時事通信社