【ニューデリー時事】中国に次ぐ13億6000万人超の人口を抱え、新型コロナウイルスの累計感染者数も米国に次いで1000万人を上回るインドで16日、新型コロナワクチンの大規模接種が始まった。印政府は「世界最大の接種計画」とアピールするが、同国初の国産ワクチンに対しては安全性に不安の声も出ている。
 計画では、国内製薬会社バーラト・バイオテックが開発した「コバクシン」と、英製薬大手アストラゼネカのワクチンを使用。16日はモディ首相がビデオ演説で接種開始を宣言。「接種は始まったが、マスクを外さず、社会的距離を取るように」と警戒継続を呼び掛けた。
 全国に約3000カ所の接種拠点が設けられ、初日は計約19万1000人が接種を受けた。首都ニューデリーの病院で接種を受けた医療従事者のマニシュ・クマールさん(34)は「病院で働き続けるため進んで接種を受けた。怖くはなかった」と語った。
 当初は約3000万人の医療従事者を優先し、その後50歳超の市民に対象を拡大。7月までに3億人分を完了する計画で、順調に進めばコロナ禍に苦しむ他の途上国にとっても光明となりそうだ。
 ただ、初の国産ワクチンとして期待されるコバクシンは、臨床試験(治験)を終える前の段階で印政府が3日に緊急使用を承認したばかり。安全性への不安が市民の間でも広がる中、どちらのワクチンを打たれるか選択することはできないため、直前の接種辞退につながる恐れもある。
 一方、ワクチンはともに2~8度の低温で管理する必要があるが、日本の8倍以上の国土面積があり、夏場には最高気温が45度にも達するインドで適切な保管・輸送ができるかも課題。政府はオンラインシステムでワクチンの貯蔵量や温度を逐次管理する方針だが、今月行われた予行演習では、インターネット接続が遮断されるトラブルが起きたほか、ワクチンが入った容器を自転車で運ぶ実態も一部で報じられた。 (C)時事通信社