新型コロナワクチンが日本国内でいつごろまでに確保できるのか不透明感が増してきた。当初は米製薬大手から6月末までに一定量が届くことになっていたが、正式契約で「年内」に変更となったためだ。各国とのワクチン開発競争での出遅れも響いている。
 厚生労働省は20日に米製薬大手ファイザーから年内に約7200万人分(約1億4400万回)の供給を受けることで正式契約したと発表した。基本合意では6月末までに6000万人分(1億2000万回)を確保できるはずだった。
 契約の変更は確保のスケジュールが当初より遅れる可能性を示しており、政府内では「調達時期が見えにくくなった」(厚労省幹部)との受け止めが出ている。
 開発をめぐり、国内では塩野義製薬などが臨床試験(治験)を実施しているが、国内製薬業界は中小企業が多く、「国際競争力が弱い」(医療関係者)と指摘される。政府が頼ったのは先行する海外製薬大手で、調達先はファイザー、米バイオ医薬品企業モデルナ、英製薬大手アストラゼネカの3社だ。
 ただ、自国での開発でないこともあり待機状態が続く。米英ではワクチン接種が始まっており、自前でワクチンを開発した中国、ロシアも国内外で接種を展開中。政府はようやく、来週にもファイザーから国内治験のデータ提供を受け、2月中旬に特例承認し、下旬までに医療従事者約1万人から順次接種を開始するスケジュールを描く。
 モデルナ、アストラゼネカ両社はまだ承認申請しておらず、厚労省も過去の薬害の経験から両社の治験審査には万全を期す考え。政府関係者は「当面はファイザー製の一本足で接種を進めざるを得ない」と話す。
 菅義偉首相は河野太郎規制改革担当相をワクチン担当に起用。厚労省もワクチン担当チームの人員を増員するなど接種実施へ作業を急ぐが、円滑に行うことができるかは未知数だ。閣僚の一人は「接種記録の電子化や、医療関係者の確保など課題は多い」と指摘する。 (C)時事通信社