【北京時事】中国政府が新型コロナウイルスの感染拡大が最初に始まった湖北省武漢市をロックダウン(都市封鎖)してから23日で1年を迎えた。2カ月半に及ぶ封鎖により感染を基本的に抑え込み、国内向けに中国の政治体制の優位性をアピールする「美談」に仕立てた。しかし、情報を隠して封鎖前の武漢からウイルスを拡散させた初動の遅れに対し、世界の批判を抑え込むことには成功していない。
 世界保健機関(WHO)や国際社会のコロナ対応を検証する独立調査パネル(委員会)は18日に公表した報告書で「昨年1月の時点で、中国の国・地方当局がより強力な公衆衛生上の措置が取れたのは明白だ」と断言した。中国側は「十分な情報がない中で、迅速に決断し果断に対策を立てた」(華春瑩・外務省報道局長)と反論した。
 だが「中国ウイルス」と攻撃を続けたトランプ前米政権と違い、相手はWHOの独立組織。華氏は「公衆衛生対応に、永遠にベストはなくベターがあるだけだ」とも語り、中国の対応が最善ではなかったと認めた。
 昨年1月、国民が事態の深刻さを知らされたのは、習近平国家主席が感染拡大阻止を求める重要指示を公表し、専門家が「人から人へ感染」を認めた20日。後になって習氏が7日の会議で対応を指示していたと主張したが、10日から春節(旧正月)を前にした帰省ラッシュが始まり、習氏も予定通り17日からミャンマーと雲南省を訪れた。国内メディアは黙殺したが、国の専門家チームのトップ、鍾南山氏は2月の記者会見で「もし1月初めに厳格な拡大防止措置を取っていたら、患者は大幅に減っていた」と率直に語っていた。
 一方、足元では感染再拡大の懸念が強まっている。都市封鎖や大規模PCR検査など武漢をモデルにした手法を駆使しているが、新規感染者は症状のある人だけで23日まで11日連続で100人を超えた。28日から始まる春節の帰省ラッシュでは延べ17億人が移動すると予想される。昨年は封鎖前の武漢から500万人超が国内外に散った「教訓」からか、政府は帰省者にPCR検査や14日間隔離を義務付けるなど足止めに必死だ。
 習主席は18、19両日、来年2月に開催予定の北京冬季五輪会場を視察し「感染拡大リスクを最大限減らせ」と指示した。冬の感染再拡大は1年後の五輪開催にも暗い影を投げ掛けている。 (C)時事通信社