新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で、営業時間短縮を余儀なくされた東京都内の飲食店。時短営業の要請を受け入れる一方、1人で来店する「おひとりさま」を優先したり、早朝営業の開始や1時間限定のコースを設けたりして生き残りを懸けた知恵を絞っている。
 壁一面に約3000冊の蔵書が所狭しと並ぶ中央区銀座のブックカフェ「BAR十誡」。静寂に包まれた店内では、お酒などを飲みながら黙々と読書を楽しむ単独客の姿が見られた。緊急事態宣言の再発令後、基本的に1人客を優先し、3人以上は断る態勢を取る。2人で来店した場合は別々の席に案内し、注文時以外の私語を控えるよう呼び掛けている。
 店長の土方陽菜さん(32)は「以前は店員と客が会話を楽しむにぎやかな雰囲気もあった」としつつも、「従業員の感染リスクを抑えたい。もともと1人客が多かったが、より『おひとりさま』が読書を楽しめるような戦略を取った」と狙いを説明する。
 武蔵野市に店を構えるラーメン屋「洞くつ家」では、時短要請に応じる代わりに午前6時からの早朝営業を始めた。店長の山本龍さん(37)は「通勤前のサラリーマンや、子どもを送った帰りのお母さんなど新しい客が少しずつ来てくれている」と手応えを感じている様子で、「経営を続けるための工夫の一つ。今まで来られなかった客に来店してもらいたい」と語った。
 新宿区の鉄板焼き店では、時短要請が出されている期間限定で、1時間で終了するショートコースを設けた。店によると、「午後7時から店で食事をしたい」という問い合わせが多く、客の要望に応えつつ、時短要請に合わせて午後8時の閉店に間に合うようにした。
 通常は2時間で9品を提供しているが、ショートコースでは5品まで削減。店長の男性(44)は「9品の料理にはそれぞれ意味があり、商売をやる上で曲げたくないところもあった」と話す一方、「経営も厳しい。状況に合わせて柔軟に対応していかないと」とこぼした。 (C)時事通信社