政府は新型コロナウイルスのワクチン接種に向け、マイナンバーや自衛隊の活用を検討している。接種記録の管理や会場設営などに用い、実際に接種に当たる自治体を支援する。関係省庁が一丸となった総力体制で臨む方針で、円滑な接種につながるかが焦点だ。
 接種は医療従事者を対象に2月下旬までに開始し、順次対象を拡大する。ただ、いつまでに全国民分のワクチンを確保し、接種を終えるかの見通しは立っていない。菅義偉首相は22日、政府対策本部の会合で「国民に安全で有効なワクチンを速やかにお届けし、一日も早く感染を収束させる」と訴えた。
 首相は接種記録の管理に関し、全国民に割り振られたマイナンバーの活用を検討する方針。デジタル化推進を掲げる菅政権はマイナンバー制度を重視している。厚生労働省が構築する「ワクチン接種円滑化システム」(V―SYS)と番号をひも付けし、管理業務を効率化させることが想定されている。平井卓也デジタル改革担当相は22日の記者会見で「厚労省が、今やっていることに障害がない限り、こちらにそういうもの(マイナンバー活用)を依頼してくることになると思う」と説明した。接種を終えた人が住所を変更しても行政側が追跡しやすくする狙いもある。
 ただ、自治体が接種券(クーポン券)を印刷し、住民に郵送する作業は必要で、完全電子化にはほど遠い。また、国民に交付されるマイナンバーカードは普及率が24%余りと低いため今回は使わず、マイナンバーは行政内部での活用にとどまる方向。オンライン接種手続きの実現はデジタル庁創設後の課題となりそうだ。
 一方、自衛隊は人海戦術面での活躍が期待される。災害派遣か省庁間協力の枠組みで出動し、ワクチン輸送、会場設営、医官・看護官による接種などを行う案が浮上している。加藤勝信官房長官は20日の記者会見で「自衛隊の能力をどう生かし、どのような支援を行っていくかは今後、自治体側のニーズ、状況も踏まえながら検討していきたい」と前向きに取り組む考えを示した。
 ワクチン接種の業務は各省庁にまたがり、ワクチン審査は厚労省、冷凍輸送は国土交通省、保管のための冷凍庫確保は経済産業省、自治体との調整は総務省がそれぞれ担う。全体を束ねる調整役と広報役は河野太郎規制改革担当相が務める。ワクチン供給日程が定まらない上、政府内の調整が手間取れば自治体の準備にも支障が出そうだ。 (C)時事通信社