新型コロナウイルスのワクチン接種に向け、自治体が準備を急いでいる。短期間で膨大な人数に打つ前例のない事業。実施主体の市町村では接種場所の選定や医師・看護師の確保、住民への周知など課題が山積する。先行地域では集団接種を見越して会場を押さえたり、小規模自治体同士で連携したりする動きが出始めている。
 政府はワクチンに関し、2月下旬にも医療従事者のうち1万~2万人の先行接種を始める方針。続けて他の医療従事者、重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人、それ以外の人の順で接種していく。
 仙台市は60カ所ある市民センターで4月分の一般利用予約を停止。市が接種会場の候補として仮押さえした。郡和子市長は「人数が多く、集団接種が避けられない。今考え得る所を押さえておきたい」と説明する。25日には市職員22人体制の推進室を設置。接種券の発送や会場運営などの調整を急ぐ。
 東京都八王子市は市内に108校ある公立小中学校の体育館を活用する計画だ。1日30会場で集団接種を実施。各会場で500~1000人に打つことを想定している。ワクチンの配分量次第で計画は変わるが、1日3万人に接種できる。
 和歌山市は7カ所の病院にワクチンを保存する冷凍庫を設置し、それぞれ近隣の3病院と共有することで、計28医療機関で実施できるよう準備している。接種場所の上積みも視野に入れる。
 近隣自治体が協力し合う「定住自立圏」を2009年度からつくる埼玉県秩父市、横瀬、皆野、長瀞、小鹿野4町と、秩父郡市医師会はワクチン接種での連携を盛り込んだ覚書を結んだ。1市4町はコールセンターを共同で設置し、地域住民の相談窓口を一本化する。費用削減や事務作業の効率化が目的で、3月上旬の設置を目指している。
 接種会場は調整中だが、1市4町の住民が接種を受けやすい環境を整える。横瀬町に住み、秩父市で働く人もいる。その場合、同市でも接種を受けられるようにし、迅速化につなげる考えだ。市保健センターの担当者は「各市町では人や予算が限られる。生活圏を同じくする自治体で協力する必要がある」と説明する。 (C)時事通信社