【ロンドン時事】新型コロナウイルスワクチンの争奪戦が激化している。欧州連合(EU)は域内で製造されたワクチンの輸出規制を発表。限られた供給量を各国・地域が奪い合う「ワクチン国家主義(ナショナリズム)」が現実となり、日本の接種計画にも影響する可能性が出てきた。
 EUのフォンデアライエン欧州委員長は26日の世界経済フォーラム(WEF)のオンライン会合で、「欧州はワクチン開発支援のために数十億ドルを投資した。そして今、企業は(ワクチンを)供給し、義務を果たさなければならない」と強調。EU外への輸出について製薬企業に報告を義務付ける規制の導入を正当化した。
 日本政府は2月下旬に米製薬大手ファイザー製ワクチンの接種を始めたい考え。しかし、このワクチンはEU加盟国ベルギーの工場から輸送予定のため、EUが輸出を差し止めたり、供給量を絞ったりした場合には日本の接種計画にも大きな狂いが生じそうだ。
 争奪戦のきっかけは、英製薬大手アストラゼネカの3月末までのEUへのワクチン供給量が予定を下回る見通しとなったこと。ロイター通信によると、アストラゼネカはタイに対しても当初予定を下回る供給量を通知したという。
 これに対し、ファイザー製ワクチンをベルギーからの輸入に頼る英国のジョンソン首相は「ワクチンや医療器具の規制は受け入れ難い」とEUをけん制。南アフリカのラマポーザ大統領もWEF会合で「ワクチン・ナショナリズムを強く懸念している」と批判した。 (C)時事通信社