新型コロナウイルスの特別措置法改正案などの審議が続く通常国会。丁々発止のやりとりが展開される一方、密集した室内で「議会の華」とされるやじが飛び交っている。スポーツ観戦やライブ会場では飛沫(ひまつ)感染のリスクから声援が規制される中、専門家は「国会でも感染リスクを減らす努力を」と苦言を呈している。
 1月下旬に開かれた衆院予算委員会。衆院事務局によると、菅義偉首相や閣僚らが答弁に立つ場には高さ2メートルのアクリル板が設置されているが、与野党の委員が座る長机には見当たらない。バスケットボールのコート(420平方メートル)よりも狭い約290平方メートルの第1委員室に議員ら100人前後がおり、密集状態は否めなかった。
 「総理が答えて」。25日には、答弁者をめぐってマスク姿の野党議員からやじが相次ぎ、金田勝年委員長が「静粛に」と声を荒らげる場面も目立った。閉会後、ある野党議員は「批判はあるかもしれないが、やじがなければ国会運営が与党の思い通りになってしまう」と理解を求めた。一方、自民党閣僚経験者は「やじは時節柄、極力控えるべきではないか」と指摘した。
 衆参両院での感染対策は、それぞれの議院運営委員会理事会で決めている。衆院本会議では採決時を除き出席議員を減らす措置を取っているが、やじなどの大声については両院とも制限を設けていないのが現状だ。
 Jリーグがまとめたコロナ感染症対応ガイドラインでは「声を出す応援」を禁止行為として規定。大相撲やライブハウスでも、来場者に対して大声や声援の自粛を要請している。
 Jリーグのガイドライン策定に関与した聖マリアンナ医科大の国島広之教授(感染症学)は「近接した状態だと、マスクをしていても飛沫は完全に防げない」と指摘。「やじもリスクとはなり得るが、それ以上に密集状態の解消など総合的にリスクを減らしていくことが必要だ」と述べた。 (C)時事通信社