東日本大震災から3月で10年が経過するのを前に岩手、宮城、福島3県沿岸と東京電力福島第1原発周辺の被災42市町村の首長に時事通信社が行ったアンケート調査で、地域の復旧・復興が「完了した」との回答は14%(6人)にとどまった。29%(12人)は完了時期が「見通せない」状況で、88%(37人)が震災の風化を懸念。新型コロナウイルスの感染拡大が復興に影響しているとみる首長も76%(32人)に上った。
 アンケートは1月に岩手12、宮城15、福島15の市町村長を対象に実施し、全員から回答を得た。
 復旧・復興(一部市町村は施設整備などハード事業についてのみ)が「完了した」と首長が考えるのは、岩手県の岩泉町、洋野町、山田町、普代村、宮城県の名取市、東松島市の6市町村。福島県はゼロだった。
 6市町村以外の完了時期の見通しでは、2人が「2020年度末まで」と回答。「21年度末まで」は12人、「22年度末まで」は4人、「23年度末まで」は2人、「25年度末まで」は2人で、「第2期復興・創生期間」(21~25年度)中に20市町村(48%)が関連事業を終える見込みだ。「26~30年度末まで」は2人だった。
 完了時期が「見通せない」の県別内訳は、福島が最多の9人で岩手が2人、宮城が1人。復興を妨げる要因(複数回答)を聞くと、「東京電力福島第1原発事故への対応」や「自治体職員の不足」などが目立った。
 第2期復興・創生期間に力を入れる分野(複数回答)は、「人口減少対策」「住民の心のケア」「農林水産業の再生」の順に多かった。
 国への要望では、福島県富岡町の宮本皓一町長が「帰還困難区域の再生について具体的な時間軸を持って方針を示す時期に来ていると考える」と主張。岩手県久慈市の遠藤譲一市長は「今後も心の復興などが必要」と訴え、宮城県山元町の斎藤俊夫町長は「マンパワーの確保」を求めた。
 新型コロナの影響をめぐっては、資材の流通や人の移動が滞ったり、作業員が感染したりし、復興事業が遅れるなどの指摘があった。
 震災の風化については、「感じる」「どちらかと言えば感じる」が計37人で88%を占めた。「時間経過とともに震災関連の報道を目にすることが減っている」(岩手県大槌町の平野公三町長)といった声が寄せられた。
 福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出への賛否では、19人(45%)が否定的な姿勢を示し、肯定的だったのは1人。「どちらとも言えない」が16人(38%)、未回答が6人(14%)と判断に悩む首長も見られた。
 東京五輪・パラリンピックが掲げる「復興五輪」の理念が浸透しているかに関しては、「思う」「どちらかと言えば思う」が計17人(40%)で、「思わない」「どちらかと言えば思わない」の計10人(24%)を上回った。 (C)時事通信社