農林水産省は5日、2020年の農林水産物・食品の輸出額(速報値)が前年比1.1%増の9223億円だったと正式発表した。8年連続で過去最高を更新。コロナ禍を受けて和牛やホタテなど外食向けの食材は苦戦した一方、「巣ごもり消費」を追い風に鶏卵やコメが高水準となった。
 国・地域別の内訳は、最大の輸出先である香港が1.2%増の2061億円。「卵かけごはん」の人気が高まり、家庭向けに鶏卵が大きく伸びた。中国は日本産ウイスキーの需要が高まり、6.6%増の1639億円。粉ミルク輸出が拡大したベトナムは18.3%増の537億円と前年を大きく上回った。
 一方、関係悪化が尾を引いている韓国はビールが振るわず、18%減の411億円と大幅なマイナス。米国はブリの消費減が響き、4%減の1188億円にとどまった。
 品目別では、加工食品を含む農産物が11.7%増の6565億円。日本酒などがプラスで、上半期に苦戦した牛肉は、下半期に家庭向けのカット商品投入が奏功したが微減だった。丸太など林産物は2.8%増の381億円を確保。半面、水産物は20.8%減の2277億円と落ち込み、ホタテの不振に加え、商談会を開けずに真珠の大幅減が痛手となった。
 政府は農林水産物・食品輸出額を25年に2兆円、30年に5兆円に引き上げる目標を掲げたが、現状と開きがある。このため、牛肉やイチゴをはじめ海外向けに特化した産品を地域ぐるみで増産する「輸出産地」の育成に取り組む。
 野上浩太郎農水相は5日の閣議後記者会見で、「輸出先の規制緩和や撤廃に向けた協議、加工施設の整備など目標達成に向けて取り組んでいきたい」と語った。 (C)時事通信社