米ボストン大などの研究チームは5日までに、人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から肺胞の細胞を多数作製し、新型コロナウイルスに感染させる実験を行った結果、新たな治療薬の候補物質を5種類特定したと発表した。論文は米科学誌モレキュラー・セルに掲載された。
 実験ではウイルスが細胞の機能を乗っ取り、自らのリボ核酸(RNA)を複製させるのと同時に細胞にダメージを与え、死滅させる過程を詳細に解明。特定した新薬候補物質はウイルスの複製を9割以上防ぐことができた。
 肺胞にはI型とII型の肺胞上皮細胞がある。I型が毛細血管から二酸化炭素を排出し、酸素を取り込む役割を担うが、このI型は肺胞を膨らませる物質を分泌するII型が変化して生じる。II型には新型コロナウイルスが細胞への侵入に利用するたんぱく質「ACE2」などがあり、感染しやすいことが分かっており、研究チームはII型の感染実験を行った。
 その結果、II型の肺胞上皮細胞にウイルスが侵入、感染してから約1時間で細胞の機能が損なわれ始め、3~6時間後には細胞のDNAがある核を取り巻く核膜が損傷することが明らかになった。感染者では、ウイルスが肺胞上皮細胞に自らのRNAを複製させてから脱出し、他の細胞にも感染が拡大するとともに、免疫反応による炎症が起きて細胞の死滅が加速し、急速に呼吸困難に陥る場合があると推定される。 (C)時事通信社