【イスタンブール時事】2017年の憲法改正で実権型大統領制を導入し、自らの権限を大幅に強化させたトルコのエルドアン大統領が、過去と決別する新たな憲法の必要性について繰り返し言及している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化などで国民の支持離れが指摘される中、指導力をさらに発揮できる体制の構築を模索しているようだ。
 エルドアン大統領は1日の演説で「トルコにおける諸問題の原因は、クーデターの担い手が作った憲法にある。どれだけ改正してもクーデターの痕跡を消すことはできない」と強調し、新たな憲法が必要だと国民に呼び掛けた。憲法の問題点に関し、具体的な内容は明らかにしていない。
 エルドアン氏の盟友である極右与党・民族主義者行動党(MHP)のバフチェリ党首は2日の声明で、現行の憲法について「大統領制弱体化のリスクがある」と主張。大統領の権限を行使しやすくなる新憲法を目指す姿勢を示した。
 トルコでは目下、インフレが年率15%近くまで上昇。国民の間では、大統領への権限集中が自由の制限など強権体質の強化を招いたものの、経済政策などに生かされていないという不満が強い。改憲前の議院内閣制に戻すべきだとの意見も根強く、エルドアン氏は対応を迫られている。
 イスタンブールの国立ボアジチ大学では最近、政権による「自由の抑圧」に反発するデモが激化。当局は学生ら多数を「テロリスト」と見なして拘束し、米国や国連から非難の声が出た。
 トルコの現行憲法は1980年の軍事クーデターを受けて82年に制定。2003年から政権を担うエルドアン氏の主導の下、議院内閣制を廃止して国家の主要ポストの任免権を大統領に集中させる憲法改正が発議され、17年の国民投票により僅差で承認された。 (C)時事通信社