菅義偉首相が、新型コロナウイルス対応をめぐり、発信力強化に腐心している。内閣支持率が急落する中、記者会見で初めてプロンプター(原稿映写機)を使用するなど、分かりやすい説明に努めるが、期待する効果を得られるかは不透明だ。
 「国民にきちんと情報発信し、説明責任を果たしたい。その一助になればと、今回初めて使わせてもらった」。首相は2日の記者会見で、プロンプター導入の理由をこう説明。周辺には「(使用して)良かった」と手応えを口にした。
 首相は就任以来、用意した原稿を読み上げるのが、会見時の定番スタイルだった。「鉄壁」と評された官房長官時代と同様、失言しないことを最優先したためだが、野党は「答弁書を読んでも国民に伝わらない」と酷評。与党からも「発信力不足」との不満が漏れる。
 このため、メッセージの発信方法を工夫し、国民の支持をつなぎとめようと懸命だ。2日の会見では、東京都の新規感染者数が減少傾向にあることを示すパネルを用意し、政府による対策の成果をアピール。最近の「ぶら下がり取材」でも、手元の紙に目線を落とさず発言したり、追加質問に応じたりするなど、丁寧な受け答えを心掛けている。
 政府関係者は「ここまで支持率が下がったことで、首相も吹っ切れた。もう捨て身で頑張るだけだ」と期待する。
 ただ、発信力を高めるには、発言内容の充実も欠かせない。実際、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の失言は、国際的な批判を浴びたが、首相は不適切との認識を示すにとどまり、与党関係者から「もっと積極的に発言してほしかった」との声が漏れた。
 「批判を一つ一つつぶしていくしかない」。自民党幹部はこう強調するが、対応が「小手先」と受け取られれば、むしろ逆効果になる可能性もある。 (C)時事通信社