森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任しても風向きは変わらない。五輪開幕まで約5カ月半。大会組織委員会は新型コロナウイルス対策など山積する問題の解決を急ぐべきだが、後任の密室人事が空転し、依然くすぶる。
 森氏は理事、評議員らを集めた臨時会合を待たず川淵三郎氏に後任を打診した。自らの辞意を正式表明する前に幕引きを図り、理事の互選で選ぶべき会長の人事を裏で進めた。これを許した組織委上層部の責任も重い。川淵氏は結局、辞退した。
 川淵氏はサッカー界、バスケットボール界を改革してきた手腕を持つ。組織委幹部も「スピーディーに決めていく人」と評していたが、80代の重鎮2人による禅譲と見られても仕方がなかった。
 森氏への批判が高まった当初、ある五輪関係者は「(後任の会長は)女性にやってもらえばいい」と言っていた。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長からも女性の共同会長を置くよう提案されたが、森氏は受け入れなかった。
 森氏発言に対する批判の根本は、男女平等を軽んじたことにある。それにもかかわらず、事態の収拾が遅れた上に、世論と問題の本質を見誤ったといえる。
 武藤敏郎事務総長は臨時会合の前に、次期会長について「民主的に、透明性ある決め方を」と軌道修正を図った。会合では白紙から協議し、候補者検討委員会で決めることになった。武藤氏は女性の会長がふさわしいかと問われ「性別を議論する必要は全くない。適任者を選ぶ。それに尽きる」。7月の五輪へ、開催可否の判断も含めて期限が迫る中、会長人事に費やす時間は多くない。 (C)時事通信社