【ブリュッセル時事】日本での接種開始に向け成田空港に12日到着した新型コロナウイルスワクチンは、ベルギー北部プールスにある米製薬大手ファイザーの工場で製造されたものだ。人口約2万5000人の小さな地方都市は、「世界を救う町」とも呼ばれ大きな注目を集めている。
 「住民は世界に貢献できることを誇りに思っている」。プールスのファンデンフーベル市長は時事通信の取材に、こう強調。「普通の生活に戻れる」と日本にワクチン接種の重要性を訴えた。
 プールスにはベルギービールの大手銘柄デュベルの醸造所があるものの、市自体の知名度は国内でもそれほど高くなかった。しかし、ファイザーが米ミシガン工場と共にコロナワクチンの生産拠点に選んだことで状況は一変。特に英米で世界に先駆けて承認された待望のワクチンだったこともあり、その名は急速に知れ渡った。市長は「これまでに欧米各国から60近くのテレビや通信社がやってきた」と語る。
 ファイザーは年20億回分のワクチン生産を目指しており、主力のプールス工場からは欧州連合(EU)加盟国のみならず、日本や英国、カナダなど世界各地に輸出されている。従業員は3000人以上といい、「誰にでもファイザーで働く知り合いがいる」(市長)。地域とのつながりは深い。
 プールスにはスイス製薬大手ノバルティスも拠点を構えており、製薬業界で計約5500人超の雇用を生んでいる。
 世界有数規模のアントワープ港と首都ブリュッセルの空港の中間に位置する物流上の利点に加え、ベルギー政府による製薬分野の研究開発や投資の促進策も町の発展を後押し。プールスは「ファーマ(医薬品)バレー」として成功モデルとなりつつある。市長は「革新的な医薬品生産を支援できるという信頼を世界に示せる」とさらなる飛躍に意欲を見せた。 (C)時事通信社