春に作付けが始まる2021年産米の価格が、前年産に続き下落しそうだ。消費者のコメ離れに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で飲食店などでの需要が急減する一方、産地が計画する生産量は十分に減らず、「コメ余り」となる見通し。値下がりは消費者にとって朗報だが、農家の苦悩は一段と深まる。自治体などは、転作や主食用以外への用途変更を呼び掛けている。
 農林水産省が昨年11月、需給を均衡させて米価が安定的に推移する目安として示した21年産主食用米の適正生産量は693万トン。比較のため20年産の作柄を平年並みと仮定した場合の収穫量に比べ36万トン少ない。需要予測はコロナの影響を考慮しておらず、同省は今後適正量を減らす可能性がある。
 一方、全国農業協同組合中央会(JA全中)の試算によると、今年1月までに43道府県の産地協議会が作成した生産目安の合計は、目安を作らない東京など4都府県を除いても696万トン超で、適正量を上回っている。
 新潟や秋田など米どころが減らすのに対し、北海道や西日本の複数の県は増やす計画。ただ、これまで米どころの中には目安の達成に協力的ではなかった産地もある。増やす地方は度重なる減産で生産基盤が揺らぐことへの危機感を募らせ、「これまでずっと減らしてきた。これが需要に見合う量」(北海道)、「農家も農地も減っており、最低限の生産力を維持したい」(九州の県)と窮状を訴える。
 農水省は、野菜や麦・大豆への転作や、加工用など主食用以外への用途変更を促すため、20年度第3次補正予算と21年度予算案で、コメ対策としては過去最大規模となる計3400億円を計上した。しかし、「補助金受給の要件が厳しい上、転作してもコロナで売れるか見通せない」(農業団体担当者)ことなどを理由に産地の動きは鈍い。
 政府は18年産米から生産調整(減反)を廃止。農家が自らの経営判断で、自由に生産できるようにした。その結果、米どころを中心に作付けを増やす産地が続出。18、19年産は不作で供給が抑えられたが、作柄が悪くなかった20年産は6年ぶりに米価が下落した。 (C)時事通信社