13日夜に発生した福島県沖を震源とする地震は、新型コロナウイルスによる売り上げ減に苦しむ飲食店に追い打ちをかけた。10年前の開業直後に東日本大震災で被災し、長期休業を強いられた同県郡山市の居酒屋は、新型コロナ対策の時短営業の終了を心待ちにする中、再び襲った地震で被災。それでも、「常連客に、早くおいしいものを食べてもらいたい」という思いから、時短期間を終えた15日から夜の営業を再開した。
 郡山市の大野秀男さん(68)が居酒屋「母」を開店したのは、10年前の2011年2月。翌月の震災で店内は壊滅状態となり、8カ月間の休業を余儀なくされた。
 13日の地震で、同市では震度6弱の揺れを観測。瞬間的に10年前の記憶がよみがえったという大野さんは、状況を確認するため店に駆け付けた。外壁にはひびが入り、割れたボトルや食器が店内に散乱していた。「とても営業できる状態ではなかった」と振り返る。
 福島県は新型コロナ感染拡大防止のため、飲食店に14日まで午後8時以降の営業自粛を要請していた。大野さんもこれに応じて時短営業を続けたが、売り上げは半減していたという。
 通常営業再開を目前にした地震被害に、「やっと戻れるというところで、また出はなをくじかれた」と落胆。休業も考えたが、夜の営業を楽しみにしていた常連客の来店予約は、再開初日から入っていた。何とか間に合わせようと店内の片付けを急ぎ、15日夕方からの営業再開にこぎ着けた。
 店内の損害は甚大で、コロナ禍も先が見通せない状況が続く。それでも大野さんは「これからも何が起こるか分からないが、その時々に応じていくしかない」と前を向いた。 (C)時事通信社