【サンパウロ時事】南米ペルーで当時の大統領や閣僚、公務員ら「特権階級」が国民に先駆けてひそかに新型コロナウイルスのワクチン接種を受けていたことが分かった。サガスティ大統領は15日、保健相と外相を含む公務員ら487人が立場を利用して「ずる」をしたことを明らかにした。両閣僚は既に辞任している。
 ペルーでは9日から接種の第1段階として、医療従事者を対象に中国製薬大手シノファーム製のワクチン投与が始まった。しかし臨床試験(治験)段階の昨年10月2日、当時大統領だったビスカラ氏が家族と共に、治験用とは別に実施機関に提供されたワクチンを接種。地元紙によると、保健省でも最高幹部を含む多くの職員が注射を受けていた。ビスカラ氏は「私は治験対象者だった」と主張しているが、実施機関は否定している。
 不祥事の責任を取り、マセッティ保健相が今月12日に辞任。1月22日に接種していたアステテ外相も「深刻な間違いを犯したことを認める」と14日に引責辞任した。アステテ氏は、周辺で多くの感染者が出る中で「公務上、私が感染するわけにはいかなかった」と弁明している。
 検察当局は15日、ビスカラ氏らについて「役職を利用して不正を行った疑いがある」として予備的捜査に着手した。サガスティ大統領は「強い憤りを禁じ得ない」としながらも、「これらの事件は今後のワクチンの購入交渉や調達の妨げにはならない」と強調。ただ、国民に行き渡るだけのワクチン確保が見通せないまま始まったばかりの接種計画の公平性や信頼性は、既に大きく揺らいでいる。 (C)時事通信社