新型コロナウイルスワクチンの日本国内での接種が17日始まる。先行する欧米各国は、一部に遅れがあるものの、おおむね計画通り進んでいる。世界最多の死者・感染者を抱える米国は7月末までに3億人分のワクチン確保を目標とし、さらに不法滞在者も接種対象としている。
 ◇ヤンキースタジアムで接種
 昨年12月8日に主要国で初めてワクチン接種を開始した英国では、2月中旬までに1500万人に投与するという当初の目標を達成。ジョンソン首相は「前例のない国家的成功だ」と胸を張る。
 米国でも英国の6日後に接種が始まり、疾病対策センター(CDC)によると、14日時点で約5300万回分が接種された。バイデン大統領は1月の就任時、「4月末までに1億回の接種を目指す」と述べており、目標達成は確実な状況だ。
 ニューヨークでは、5日から米大リーグのニューヨーク・ヤンキースの本拠地「ヤンキースタジアム」に接種センターを開設。クオモ知事は「地元の象徴的な施設で行われる集団接種はコロナ撲滅に向けた完璧な解決策だ」と意気込んでいる。
 また、国土安全保障省は1日の声明で「すべての米国在住者に接種してもらう」として、不法滞在者も接種を受けられると明言した。共和党からは「不法移民が結果的に米国民より早く接種を受ける可能性があるのか」と不満の声が上がった。
 ◇仏独は遅れも
 高齢者施設の入所者からワクチン接種を開始したフランスは、同意取り付け作業に苦戦。医療従事者を優先した周辺国に大きく後れを取った。マクロン大統領は「理由のない遅れは許されない」としているが、15日時点で1回目の接種を受けたのは約230万人にとどまっている。
 ドイツも昨年末から接種を開始。見本市会場など大規模施設を利用して各地に設けられた「ワクチンセンター」や病院での接種が可能だ。
 メルケル首相は「今夏の終わりまでにはすべての国民に、接種の機会を提供できる」としている。ただ、供給の遅れや事務手続きの遅れで、接種率はまだ3%強にとどまっており、政府への批判は強まっている。
 欧州連合(EU)と距離を置く東欧の一部では、欧米製ワクチン供給の遅れから、中国やロシアのワクチンに頼る。セルビアでは、中ロ両国のワクチン接種が既に始まった。ハンガリーもロシア製の接種を開始したほか、中国製を承認済みだ。
 ◇イスラエル、4割以上が接種
 人口比では世界で最もワクチン接種が進んでいるイスラエルでは、これまでに人口の4割以上に当たる400万人近くに投与され、このうち約250万人は2度目の接種を終えた。新規感染者数は減少傾向にある。
 ただ、海外から変異ウイルスが持ち込まれる事態を警戒してすべての国際線の運航を原則禁止するなど、なお厳しい規制措置が取られている。
 ネタニヤフ首相は14日、「罹患(りかん)率が低下し始めているのは良い兆候だ。しかし注意深く行動し、経済は段階的に回していかなければならない」と述べ、慎重な姿勢を見せている。(ロンドン、ワシントン、パリ、ベルリン、エルサレム時事)。 (C)時事通信社