政府は新型コロナウイルスワクチン接種の円滑な実施へ万全を期す方針だ。国立病院などの医療従事者を対象に17日から先行接種が始まるが、4月以降の高齢者向け接種などを担う自治体にワクチンをいつ提供できるかは、いまだ示せていない。準備を本格化させる自治体からは不安の声が出ている。
 「高齢者の接種開始日程がお伝えできないことをもどかしく思っている。迷惑をかけている部分は率直におわびしなければいけない」。ワクチン接種の総合調整を担う河野太郎規制改革担当相は16日の記者会見でこう陳謝した。
 菅義偉首相にとってワクチンは新型コロナ対策の「切り札」だ。感染拡大に伴う対策が「後手に回った」との批判を踏まえ、首相官邸は接種開始を急ぐよう厚生労働省に指示。今月下旬だった予定を前倒しし、17日開始にこぎ着けた。
 計画では、17日に始まる医療従事者約4万人を皮切りに、4月1日以降に65歳以上の高齢者約3600万人への接種を開始し、一般へと順次広げる。
 しかし、計画通りに進むかは不透明だ。欧州連合(EU)が域内で製造されたワクチンの輸出を規制するなど、円滑な確保が見通せないためだ。
 日本政府は米製薬大手ファイザー社と1億4400万回分の供給を受ける契約を交わすが、12日に到着したのは1瓶当たり6回分採取できれば約38万6000回分となる。河野氏は16日の会見で、日本に届くワクチン第二弾が15日に承認されたことを明かした。
 河野氏は一般接種の開始時期も明らかにしておらず、政府内には「半年後」との見方もある。
 現場で対応を迫られる自治体側は危機感を募らせている。15日の全国知事会会合では「ワクチンはいつ入るのか」「具体的な情報が不足している」と不満が相次いだ。政府が4月からの稼働を目指す接種状況を管理する新システム活用への懸念も示された。
 ワクチン接種は国民の期待もあるだけに、政権にとって「もろ刃の剣」になる可能性がある。ある自民党幹部は「ワクチンが順調に進まなかったら支持率は下がる」と指摘した。 (C)時事通信社