「自宅で安全に稼ぎませんか」。新型コロナウイルス禍の中、自宅に届いた荷物を指定の住所に転送する「荷物転送」と呼ばれるアルバイトを募る書き込みが、インターネット交流サイト(SNS)で広まっている。警視庁によると、荷物の中身はバイトに応募した人の名義で契約された携帯電話で、転送先で特殊詐欺に使われていた。同庁は「コロナ禍で、今後も増加が予想される」と警戒する。
 同庁犯罪抑止対策本部によると、携帯電話を実際の利用者とは別の名義で契約したため、サービス停止となったケースは昨年、同庁が把握している分だけで345件(2019年は18件)に急増した。大半が荷物転送アルバイトを通じて詐欺犯が獲得した電話とみられている。
 沖縄県の30代女性は昨年5月、フェイスブック上に開設された副業紹介ページから荷物転送アルバイトに応募。指示役から「信頼関係を結びたい」と言われ、運転免許証の画像を送った。
 その後、自分名義の携帯電話端末やSIMカード、健康食品、化粧品などが届き、指定の住所に転送。携帯電話の場合、報酬は1回3000円程度だった。携帯料金は支払う必要がないとされたが、自宅に請求書が届きおかしいと気付いた。
 警視庁から同年10月、東京都内で起きた特殊詐欺に、転送した携帯電話が使われていると連絡を受けた。「だまされた人がいると思うと申し訳ない」。女性は後悔の念を口にした。指示役らと連絡も取れなくなり、携帯料金は自分で負担した。
 携帯電話事業者もこうした事態を問題視し、対策に乗り出した。LINEモバイルは端末の配送時に「この荷物、あなたが注文した荷物ですか?」との注意書きを付けた。荷物転送アルバイトと称した詐欺が発生していると指摘し、転送せずに連絡するよう促している。 (C)時事通信社