【ワシントン時事】バイデン米大統領の就任から20日で1カ月。政権はこの間、新型コロナウイルス対策や地球温暖化対策などで、トランプ政権の路線を矢継ぎ早に転換した。ツイッターを武器に対立をあおったトランプ前大統領の「劇場型政治」とは一変。世論の一定の支持を追い風に、現実路線で実績を積み上げようと急ぐ。
 「69%の人が私のコロナ対策を支持している。米国はさほど分断されていない」。バイデン氏は就任後初となった16日の対話集会で政権の滑り出しに胸を張った。
 バイデン氏が1カ月で署名した行政命令は「大統領令」の名が付くものだけで32本。トランプ政権の同時期の12本、オバマ政権の15本と比べ、政策決定の素早さが目立つ。
 日々の発信は報道官に譲り、バイデン氏が肉声を発する機会は少ない。オバマ政権で経験を積んだ高官に囲まれ、懸念されたバイデン氏の「失言」も影を潜める。波乱に満ちた前政権と異なり「政治が退屈なのは良いこと」と論評する識者もいる。
 一方、バイデン氏は「超党派」の政治を理想に掲げながら、現実主義的な側面も見せるようになった。野党共和党が反対する政権のコロナ対策をめぐり「苦しんでいる米国民を救うか、長い交渉で行き詰まるかの選択なら、答えは簡単だ」と、与党単独の成立にあっさりゴーサインを出した。
 対中政策では「先に進まなければ、中国はわれわれのランチを食べてしまう」と強硬姿勢を強調。ただ、2年前の演説では「中国がわれわれのランチを食べてしまうかって? 冗談よせよ」と、正反対の発言をしており、変わり身の早さが波紋を呼ぶ。
 議会上下院で与党が多数派を握り、コロナ感染者が減少に向かうなど、政権には追い風が吹く。ただ、地球温暖化対策やインフラ投資などの具体策では今後、民主党左派からの突き上げや共和党の反対が強まると予想され、「ハネムーン期間」で政権を安定軌道に乗せられるかが鍵を握る。 (C)時事通信社