三菱UFJ、三井住友、みずほの三大銀行グループが顧客らの膨大なデータを人工知能(AI)で解析し、融資業務などの効率化と営業支援といった業容拡張を同時に狙う取り組みを加速させている。新型コロナウイルス禍を受け利用が伸びた「スピード融資」で取引先の資金繰り問題に対応。衛星画像を活用した誘客支援も始まり、超低金利下、低迷する業績打開へ「収益源を多角化する」(大手行関係者)ためのビッグデータが切り札となりそうだ。
 三菱UFJやみずほは2019年からインターネットで完結する法人融資を手掛ける。これまで自行からの借り入れがない顧客を対象に、AIが膨大な法人資金の出入りを基に金利を設定。申し込み後、最短2日で最大1000万円を貸し出す。三菱UFJの1月の融資額は前年同月比7割増えた。個人向けでは、みずほがソフトバンクと設立した新会社で、性格や生活習慣の申告を踏まえ返済能力を判定、金利を優遇するサービスを始めた。
 三井住友のビッグデータ活用では、衛星画像を解析して潜在顧客を掘り起こす試みが目立つ。昨年、全地球測位システム(GPS)と組み合わせて捕捉した人や車両の動きから取引先への誘客を支援する事業を立ち上げた。グループ傘下のSMBCクラウドサイン(東京)では非接触で契約が可能な電子署名サービスの売り上げが急伸しており、銀行とも連携しながら「データビジネスの拡張」(三嶋英城同社社長)を見据える。
 伝統的な銀行業務には金融とITを融合したフィンテック企業が侵食し、ネット取引履歴などの分析結果に基づく融資を拡大させている。超低金利の長期化などを背景に三大銀の純利益は低迷。21年3月期は3年連続の減益となる見通しだが、広大な顧客基盤を生かして攻勢に転じる。 (C)時事通信社