厚生労働省は、児童相談所(児相)で虐待相談に対応する人材の専門性を高めるため、子ども家庭福祉の分野で新たな資格を創設する方向で検討に入った。児童虐待の相談件数は年々増加しており、国家資格とするか、民間の認定資格とするかなど、今後具体的な制度設計を急ぐ。
 児相では現在、児童福祉司や児童心理司ら自治体の職員が、子どもや親からの相談に対応している。いずれも国家資格ではなく、一定の実務経験を積むことなどで試験なしで取得できる。
 政府は2018年、児相の体制強化に向けた対策プランを決定。21年度中に児童福祉司を全国で約5260人(17年度は3235人)、児童心理司を約2150人(同1360人)に増やす計画を打ち出した。
 ただ、増員の影響もあり、20年4月1日時点で、全国の児童福祉司の約半数が勤続3年未満と経験が浅い状態だ。子どもから話を聞くのに加え、家庭環境や地域との関わりを調査できる専門性の向上が課題となっている。
 新たな資格をめぐっては、社会福祉士などの国家資格を持つ人が子ども家庭福祉分野の教育課程を修了した場合や、大学などの養成課程で専門科目を学んだ人に付与する案が出ている。
 全国の児相が対応した19年度の虐待相談件数(速報値)は19万3780件。1990年度の集計開始以来最多を更新した。新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛などの影響で、虐待リスクがさらに高まる可能性も指摘されている。 (C)時事通信社