東京パラリンピック開幕を半年後に控え、開催のカギを握るのは新型コロナウイルス対策だ。ワクチンがまだ国民全体に行き届かず、治療法も確立されていない状況で、障害を抱える選手の命をいかにして守るか。リハビリテーション医学を40年近く研究してきた日本パラ陸上競技連盟の田島文博医事委員長は、選手がコロナに感染するという最悪の事態にも備える必要があると考えている。
 昨年12月、基礎疾患を持つ車いすの選手が新型コロナウイルス検査で陽性となった。参加予定だった強化合宿の約2週間前に喉の違和感があり、トレーナーらに報告。素早い処置で重症化に至らなかった。
 田島氏は、症状が治まった後の対処が重要と判断。1日2時間を目安に体を動かすなら、かえって免疫力が上がり、体調回復を促すと助言したところ、この選手は再び練習に取り組めるようになったという。この経験などから、「感染した人も、ある程度運動した方がいい」と提言する。
 一方、感染の予防については、日本障がい者スポーツ協会の陶山哲夫医学委員長が手指や器具の消毒といった基本的な対策をきめ細かく行う重要性を説く。ワクチンの普及にも、「少し明かりが見えてきている」と期待を寄せた。
 重度の障害を抱える選手もいて、医学的な支援は欠かせない。陶山委員長は「日本のアスリートをアシストする立場として、できることをやっていく」と語った。 (C)時事通信社