【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)が新型コロナウイルスワクチンの接種ペースが伸びず苦慮している。欧州委員会などへの批判も強まる中、EUは25日のテレビ首脳会議で対応を協議する。
 「EU全域で接種を加速させることが引き続き最優先だ」。ミシェルEU大統領は23日、首脳会議の招集状で強調。今後のウイルス変異への対応も想定し、承認から生産、供給全ての迅速化を図る方針を示した。
 英オックスフォード大研究者らのデータベースによると、昨年末に接種を始めたEUの人口100人当たりの接種数(22日時点)は6.25回。英国(27.34回)や米国(19.39回)に大きく遅れている。
 EUは加盟国同士の争奪戦を避けるため、欧州委が一括してワクチンを調達し各国に人口比で配分する方法を取る。製薬会社との契約でこれまでに確保したのは6種類で計約26億回分。EUの総人口約4億5000万人を大きく上回る。うち3種類が承認済みだ。
 ただ、英米に比べ契約や承認手続きが遅れたほか、英製薬大手アストラゼネカの大幅な生産減が重なり接種は思うように進まず、フォンデアライエン欧州委員長は「大量生産の困難さを過小評価していた」と対応のまずさを認める。ハンガリーがEU未承認のロシアや中国製ワクチンを独自承認し接種を始めるなど、加盟国の結束には乱れも生じている。
 ワクチンが供給されても市民の接種忌避や接種態勢といった問題も残る。ロイター通信によると、ドイツ保健省は24日、有効性が他ワクチンを下回るアストラゼネカ製の使用率が、わずか15%にとどまっている実態を明らかにした。
 EUは夏の終わりまでに成人人口の7割の接種を目標とするが達成は不透明だ。接種の遅れで景気回復が遠のく懸念も高まっている。 (C)時事通信社