新型コロナウイルス感染急拡大を抑え込もうと関西、中部などの6府県で発令された緊急事態宣言は、ほぼ1カ月半ぶりに解除が決まった。政府は「急所」とにらんだ飲食店に重点を置いた感染防止策が奏功したとみるが、解除後の「緩み」による感染再拡大を警戒する声は根強い。残る首都圏では新規感染者数の減少が鈍化しており、政府の想定通り3月7日で全面解除できるかは予断を許さない。
 「今後も流行の波は起こり得る。感染再拡大防止策の徹底が大事だ」。西村康稔経済再生担当相は26日の基本的対処方針等諮問委員会で、宣言解除後も緩みを生じさせないよう強く戒めた。
 今回の緊急事態宣言は、幅広い業種に休業を要請した昨年春と異なり、感染拡大のリスクが高い飲食店の営業時間短縮に力点を置いた。当初予定の今月7日までの期限を3週間延ばした結果、6府県では新規感染者数が大幅に減少し、感染状況の深刻度が2番目に低い「ステージ2」水準まで改善した。政府関係者は「飲食対策でここまでくるとは予想以上だった」と自賛する。
 一方で、専門家は解除による「リバウンド」(感染再拡大)への警戒を解いていない。解除する6府県でも一部の都市部では病床使用率は高止まりしている。感染対策の緩みを懸念する田村憲久厚生労働相は、もともとの期限である3月7日まで解除すべきではないと主張。調整は26日朝までもつれた。
 今年に入って、感染力が高いとされる変異ウイルスが各地で確認された。春に向けて歓送迎会など会食の機会が増えることも予想される。26日の諮問委は変異ウイルス拡大への危機感から政府への注文が相次ぎ、予定時間を1時間超過。一定の対策を怠らない「条件付き解除」(西村担当相)と位置付けることで落ち着いた。
 政府は宣言解除後も、全国で停止している観光支援策「Go To トラベル」は直ちに再開せず、今後の動かし方を慎重に探る。感染状況がステージ2水準の県内発着分に限定し、補助額の上限も引き下げる案などが浮上している。
 宣言が続く首都圏の1都3県では、新規感染者数が減少するどころか、再び増加する兆しも一部で見られる。政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長は26日の国会答弁で、首都圏の解除の可否を問われ、「両方の可能性がある」と再延長の可能性も排除しなかった。
 菅義偉首相は26日、3月7日の期限をもって全面解除を目指す方針を明言。ただ、首都圏で感染が再拡大すれば、今夏の東京五輪・パラリンピック開催は絶望的になりかねず、菅政権にも深刻な打撃となることは避けられそうにない。1都3県の扱いについて、加藤勝信官房長官は26日の記者会見で「緊張感を持って状況を注視し、専門家の意見を踏まえ判断したい」と慎重な言い回しを崩さなかった。 (C)時事通信社