新型コロナウイルスの影響で、大学などを中退する学生が後を絶たない。文部科学省によると、昨年4月以降に1300人以上が中退し、相談機関には「学費が捻出できない」「オンライン授業で友達がつくれず寂しい」といった悩みが相次ぐ。専門家は「個人の事情に応じた支援が必要だ」と指摘する。
 文科省によると、新型コロナの影響で昨年4~12月に全国の国公私立大や短大などを中退した学生は計1367人。主な理由は「経済的困窮」や「学生生活不適応・修学意欲低下」で、約3分の1が1年生だった。
 就職支援会社「ジェイック」(東京)は昨年5月、中退を考える学生向けに相談窓口「コロナ中退119番」を設置し、既に50件の相談が寄せられた。責任者の小久保友寛さんは、コロナ禍の前から2000人を超える中退者の就職支援に携わり、中退を後悔する声を多く耳にした。「誰に話していいか分からないまま、退学届を出す現状がある。事前に話を聞く場があれば結果は違ってくるかもしれない」と話す。
 相談内容は「孤独感を覚えた」「学校に魅力を感じなくなった」などが多く、オンライン授業で人との交流がなくなった影響が見られる。親の失業や、バイト先のシフト減少といった経済的な事情の場合は給付金制度などを紹介。中退した学生の相談にも応じている。
 大学生の中退問題に詳しい大正大の山本繁特命教授は、コロナ禍の学生が抱える問題として、孤独感▽虚無感▽オンライン授業への不満▽就職活動への不安▽経済的困窮―の五つを挙げる。中退にはこれらが複合的に作用しているという。
 特に1年生は孤独などを感じる傾向が強く、「成長の実感や充実感を得られる対応が求められる。この1年で浮かんだ課題を整理し、新入生への対応に生かすべきだ」と訴えた。 (C)時事通信社