「新型コロナウイルスに全てを狂わされた」。千葉県内の私立大に通っていた男性(20)は学費が工面できなくなり、2月上旬に退学届を提出した。「何もできず無力感があった」。志半ばで諦めざるを得なかった大学生活を振り返った。
 男性が入学したのは2019年4月。実家は母子家庭で、母親からは「進学してもお金は出せない」と言われていた。それでも「安定した就職先を決め、母親に恩返ししたい」と思い、アルバイト代や奨学金で学費を賄う道を選んだ。
 入学後、居酒屋のバイトに週5日入り、月に約10万円を稼いで学費を捻出。学業とバイトで充実した日々を送っていた中、コロナ禍が起きた。
 昨春の緊急事態宣言後、社員を優先する居酒屋の方針でシフトに入れなくなり収入が激減。当初はイベントの手伝いなど単発のバイトをこなしたが、授業との兼ね合いから多くは働けなかった。オンライン授業中心で友人との交流も途絶え、「ずっと孤独だった」と打ち明ける。
 後期分の学費は大学と相談して昨年10月の期限を延長してもらい、2カ月遅れで何とか支払った。ただ、翌春に必要な前期分はその時点で40万円ほど不足していた。再開した居酒屋のバイトも感染再拡大で12月末から白紙に。他のバイト先を探したが採用されなかった。
 「この先、学費を払い続けられるだろうか」「先行きが見えないなら、早く働き始めた方がいいかも」。悩んだ末、就職活動することを選んだ。男性は「コロナ禍でもうまく対応している学生もいると思うが、自分は何もできなかった」と唇をかんだ。 (C)時事通信社