新型コロナウイルス対策として行う飲食店取引先などへの一時金申請の受け付け開始を控え、経済産業省は不正受給防止に全力を挙げている。既に実施した中小事業者らが対象の「持続化給付金」では不正受給が相次ぎ、数百人が検挙され、自主返納は1万件以上、累計100億円超に上った。経産省は「同じ失敗はできない」(幹部)と、確認の強化などの対策を講じている。
 一時金は、飲食店の時短営業で影響を被った取引先などに最大60万円を支給。3月初旬にも申請を受け付ける方向。「持続化」ではコロナ流行前と比べて売り上げが半減した事業者に最大200万円を支給したが、書類偽造などの手口で不正が続出し、昨年12月中旬時点で279人が詐欺容疑などで検挙された。不正まん延を受け、経産省が自主返納を呼び掛けることになった。
 実際には事業を行っていない学生らがインターネット交流サイト(SNS)で勧誘されて不正に手を染める事例が目立った。迅速な支給のため必要書類を最低限にし、「性善説」で運営した手法があだになった形だ。
 今回の一時金では、緊急事態宣言の影響で売り上げが減ったことを証明する必要があるほか、飲食店との取引実績などを示す書類の保管が求められる。経産省は不正を防ぐため、書類を提出する前に「事業確認」のプロセスを設ける。地元の事業者の動向を熟知する商工会議所や金融機関などを確認機関に登録し、申請者が実際に事業を行っているかなどを確認する。
 また、「持続化」で提出された偽の確定申告書などを分析すると、記載された数字が似た書類が幾つも出てくるなど偽造の手口にもパターンがあった。こうしたノウハウを使い、不正の発見に役立てる。SNSで不正を呼び掛ける投稿を監視し警告するなど、入り口での抑止も行う。
 同省の担当者は「不正がはびこるのは役人としてはじくじたる思いだ。国民の血税を無駄にはできない」と話す。 (C)時事通信社