【パリ時事】新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人が取得できる証明書の活用をめぐり、欧州内で温度差が生じている。欧州連合(EU)のミシェル大統領は25日、「ワクチン未接種者に対する差別を招く恐れがある」と懸念を表明。一方、国内経済を観光に依存するギリシャやスペインなど南欧諸国は、証明書の活用に前向きだ。
 EUは1月のテレビ首脳会議で、ワクチン証明書の標準化を進めることで合意。取得者への渡航制限の緩和など、医療目的以外での活用方法について議論を進めている。
 世界で最もワクチン接種が進むイスラエルは、接種者に「グリーンパス」を発行。AFP通信によれば、ホテルなど一部の施設で利用者にパスの提示が義務付けられている。
 こうした例を念頭にギリシャのミツォタキス首相は、EUでも同様の「ワクチンパスポート」を発行すべきだと主張している。今月8日にはイスラエルのネタニヤフ首相と会談。パスを保持するイスラエルからの観光客に対し、隔離なしでギリシャへの渡航を許可する2国間合意を締結した。
 スペインやイタリアも、EU共通のワクチンパスポート導入に前向きな姿勢を示している。
 一方、フランスはマクロン大統領がワクチン接種を「義務化しない」と表明したことから、ワクチンパスポートの導入には慎重だ。ただ、地元メディアによれば、観光業界は「スペインやギリシャに外国人観光客を取られかねない」と懸念している。 (C)時事通信社