2021年度予算案が衆院を通過し、年度内成立が確実となった。審議日程は終始、与党ペースで推移。立憲民主党はコロナ禍での世論を意識し、日程闘争は封印。コロナ対策での提案や、菅義偉首相の長男正剛氏らによる総務省幹部接待問題の追及など徹底審議に軸足を置いた。
 「日程闘争より具体的な質疑をしてきた。(行政の)監視と提案の両方の機能を果たせた」。立憲の福山哲郎幹事長は2日夕、記者団にこう語り、衆院の審議を振り返った。
 衆院審議をめぐり、立憲は一貫して「感染拡大が続く非常時だ。成立を遅らせることが野党の仕事とは思わない」(政調幹部)との立場だった。感染収束が見通せない中、予算案を「人質」に遅延戦術に踏み切れば批判を浴びかねないとの懸念からだ。実際、2月4日からの審議が中断したり、開会が遅れたりしたのは3日間にとどまった。
 今月1日には、首相の長男らから高額接待を受けた山田真貴子前内閣広報官が、出席を予定していた委員会開会直前に辞職する不測の事態も起きたが審議日程に狂いは生じなかった。
 大きな波乱もなく審議が進んだ背景には、与党が最優先に位置付ける予算案の年度内成立を立憲が事実上容認する代わりに、集中審議の開催など条件面で与党から譲歩を得たこともある。
 接待問題をめぐっては、首相や総務省幹部を集中審議に軒並み引きずりだし、予算案の採決の前提となる中央公聴会後の集中審議開催も与党に認めさせた。立憲国対幹部は「(慣例では審議には出席しない)農林水産事務次官や総務審議官を出すこともできた」と成果を強調する。
 もっとも、立憲内では、年度内成立を確定させた衆院側の対応に参院側から不満も漏れる。「解散を受けて立つ決意ができていないからだ」。参院ベテラン議員は衆院側が首相を追い込んで解散を誘発するのを避けていると指摘する。
 総務省幹部接待問題は、長男の接待攻勢で行政がゆがめられた可能性や忖度(そんたく)が働いたかどうかなどがなお不透明なまま。立憲の参院側は幕引きを許さず、3日からの予算審議で首相をさらに厳しく追及する方針だ。 (C)時事通信社