【ワシントン時事】新型コロナウイルスのワクチン確保で、バイデン米政権は「自国第一」の立場を貫いている。製薬企業からの直接購入で苦戦するメキシコは、米政府が調達した分の買い取りを希望。バイデン大統領とメキシコのロペスオブラドール大統領による1日のテレビ首脳会談でも話し合われたもようだが、米側は「米国民への接種が優先」として応じない構えだ。
 メキシコからの報道によると、ロペスオブラドール氏は首脳会談前の記者会見で、バイデン氏に「転売」を直接持ち掛けると説明。「われわれ多くに関わる問題だ」と力を込めた。
 米ジョンズ・ホプキンス大の集計で、メキシコの新型コロナによる死者数は米国、ブラジルに次いで世界3位。各国がワクチン争奪戦を展開する中、左派出身のロペスオブラドール氏は貧しい諸国が後回しにされる現状に批判を強めている。
 だが、サキ米大統領報道官は1日の記者会見で、メキシコへのワクチン売却の可能性について「大統領は、すべての米国民が確実にワクチンへアクセスできることに集中している」と指摘。他国へのワクチン供給は、米国民の分を確保した上で検討する考えを示した。バイデン政権は7月末までに、大半の国民へ行き渡るだけのワクチンを調達する計画だ。
 ワシントン・ポスト紙によれば、ロペスオブラドール氏はトランプ前大統領にもワクチン調達で協力を要請していたが、トランプ氏は拒否し、昨年12月に「ワクチン配布での米国民優先」を命じる大統領令を出した。バイデン氏は前政権が掲げた「米国第一主義」を批判しているが、国民の生死に関わるワクチン確保をめぐっては、国際協調も後回しにせざるを得ないようだ。 (C)時事通信社