東日本大震災で被災し、プレハブの応急仮設住宅で生活する人は、岩手、福島両県の計28人のみとなった。ピーク時の2012年3月には、宮城を含む3県で計11万6565人だったが、宮城県に続き年度内に岩手県でも解消する見通しだ。
 宮城では20年4月に最後の入居者が退去し、入居者は1月末現在で岩手23人、福島5人。福島県は供与期間をさらに1年延長し、来年度中の解消を目指す。担当者は「新型コロナウイルスの影響もあり、家庭の状況に合った居住地が見つけられていない」と説明する。
 岩手県で最後に残ったプレハブ仮設である陸前高田市の「滝の里仮設団地」は、3月末までに退去が完了する。昨年11月に再建した自宅に転居し、片付けに来ていた同市の会社員福田紀雄さん(51)が「新しい家は寒くなくていい。ここは寒いなんてもんじゃなかった」と笑顔を浮かべた。
 菅原忠子さん(40)は、再建した店舗兼自宅がかさ上げ工事の影響で建て直しとなり転居が遅れたと話し、「いろいろあったがやっと。3人の子どもも、自分の部屋ができると喜んでいる」とほっとした表情を見せた。
 一方、仮設を出た後も課題は残る。「岩手県内陸避難者支援センター」の山屋理恵センター長は「金銭面や家族関係などで引っ越しが難しくなっていた人もいる。転居はスタートで、継続した支援が必要」と訴える。仮設は無償提供だが、新居の家賃支払いが難しいケースや、住宅ローン返済が滞るケースもあるといい、県は弁護士やフィナンシャル・プランナーと連携し、沿岸部で新たな支援拠点を設置する方針だ。
 東京電力福島第1原発事故の避難者向けを除き、東日本大震災後に計画された最後の災害公営住宅(復興住宅)「南青山アパート」(盛岡市)の入居が2月、始まった。岩手県大槌町で被災した三浦優子さん(67)は「新しくそろえる物もあるし、人間関係に不安もあるが、ここで楽しく過ごしたい」と語った。
 災害公営住宅では入居者の孤立が進みやすいとされ、誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」も社会問題となっている。南青山アパートでは支援員が常駐し、見守りを続ける。
 交流の機会となるお茶会やイベントがコロナ禍で中止されるケースも多く、県はコロナ対策を踏まえた支援マニュアルの追補版の作成を進め、電話での見守りなども活用しながらコミュニティー維持に取り組む。 (C)時事通信社