新型コロナウイルスワクチンの集団接種開始に向け、自治体が会場の確保を急いでいる。ただ、適した会場は限られ、いつ接種が終わるかも不透明。施設を長期間にわたって押さえざるを得ず、延期した成人式の見通しが立たなくなったり、市民団体が活動場所を失ったりするなどの影響が出始めている。
 大阪市は接種会場として区民センターなど計49施設を想定し、それ以外の利用は4月から半年ほど中止する。1月から延期していた成人式に使う施設も含まれており、開催のめどが立たなくなったという。東成区の担当者は「参加者500人前後を収容できるのは区民センターだけ。新成人のために何とか開催したいが」と頭を抱えた。
 仙台市でも60施設が接種会場の候補となり、調理室などを借りていた複数の子ども食堂の運営が立ち行かなくなった。相談を受けた同市社会福祉協議会が他の場所を探しているが、宮城野区の「東仙台子ども食堂」代表の舩山由紀子さん(66)は「大きな調理室のある場所は少ない。4月以降の活動は未定」と声を落とす。
 バスケットボール男子Bリーグ3部「さいたまブロンコス」も埼玉県所沢市の市民体育館が使えなくなり、4月に予定していた4試合が宙に浮いた。市からは2月中旬に連絡があったが、代替案は示されなかったという。チーム関係者は「ワクチン接種が大切なのは分かるが、代わりの施設も見通しが立たず、途方に暮れている」と嘆いた。
 視覚障害の選手らによるブラインドサッカーのクラブを運営する鈴木康夫さん(48)も、練習場所の確保に奔走している。拠点を置く東京都世田谷区から、普段使っている体育館が接種会場に併設されており、利用できなくなる可能性があると伝えられたからだ。
 鈴木さんは「民間のフットサル場を借りるにしてもコストがかかる。屋外だと雨天では使えない。ワクチン接種なので仕方ないが、練習計画が立てにくい」と漏らした。 (C)時事通信社