菅義偉首相が新型コロナウイルスに関する1都3県の緊急事態宣言を2週間程度延長する意向を示したことを受け、与党からは4日、感染者の減少ペース鈍化を考えればやむを得ないとの声が相次いだ。ただ、小池百合子東京都知事の動向に軌道修正を余儀なくされ、与党の一部には首相の姿勢を疑問視する声もある。野党は政局本位の判断で国民を翻弄(ほんろう)したと批判を強めている。
 自民党の岸田文雄前政調会長は4日、岸田派の会合で「理解できる判断ではないか」と表明。公明党の山口那津男代表は中央幹事会で、首相から記者団の取材に応じる約30分前に、電話があったことを報告。山口氏は「感染を下降に導く取り組みを一層強めることが重要だ」と強調した。
 自民党では表立った批判は聞かれないものの、「会合を入れていたのに」などの恨み節も漏れる。自粛破りで離党者を出した麻生派の例会では、麻生太郎副総理兼財務相が「一杯飲みに行こうと予定していた方も、引き続き自重するようお願いする」と呼び掛けた。
 首相周辺によると、小池氏が2週間の宣言延長を求める構えを見せたため、首相は後手に回らないよう宣言延長を打ち出したのが実態。このため、自民党内には「首相は支離滅裂」(閣僚経験者)との不満もくすぶる。
 これに対し、野党は批判を強めている。立憲民主党の安住淳国対委員長は国会内で記者団に「政府は(都の解除は1日の新規感染者)500人以下がめどと言っていたはずだ」と指摘。その上で、「基準がほとんどクリアされたにもかかわらず、政治的理由で延長するなら大きな問題がある」と語った。
 立憲の野田佳彦元首相は千葉市の演説で「一日千秋の思いで解除を待っていた人がたくさんいるのに、なぜ謝罪から始めないのか」と首相の対応を問題視。共産党の志位和夫委員長は記者会見で「なぜ2週間か一切示されていない。後手批判をかわすための演出」と指弾した。
 国民民主党の玉木雄一郎代表も「延長するだけでは戦略として0点。どういう要件を満たせば解除するか、そこに至る戦略は何かを首相が国民に直接説明すべきだ」と強調した。 (C)時事通信社