【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染拡大について、パンデミック(世界的大流行)と認めてから11日で1年。WHOは当時、中国への配慮で宣言を遅らせたと批判を受け、米国の脱退宣言にもつながった。しかし、その後は中国賛辞を抑制。バイデン米政権による脱退取りやめもあり、途上国へのワクチン供給などで一定の存在感を示している。
 WHOのテドロス事務局長は1月、ウイルスの起源を調べるWHO調査団の中国入国がなかなか認められず「非常に失望した」と中国を批判。昨年初めの段階では「中国を見習うべきだ」などと露骨な賛辞が目立っただけに、中国寄りとの批判を意識していることを印象付けた。1月にWHO独立パネル(検討委員会)が出した報告書も、WHOと中国に初動の遅れがあったと明記した。
 一方、WHOは、ワクチン共同調達の国際枠組み「COVAX」を通じ、途上国などへのワクチン供給を開始。先進国の買い占めが懸念される中、協調を主導する国際機関として代えがきかない存在であることを示した。
 ただ、WHOを舞台にした対立の懸念はまだ消えていない。2月に中国での調査を終えた調査団は、当初すぐに発表予定だった暫定報告書の公表を取りやめた。3月半ばに完全な報告書を発表する。
 米紙ウォールストリート・ジャーナルは、発表の遅れに関し「米中の緊張増大のため」と報じた。中国は依然として自国が起源とは認めていない。報告書の内容次第では、対立が再燃する恐れもある。 (C)時事通信社