菅政権の看板政策であるデジタル改革関連5法案は、9日の衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。行政デジタル化の司令塔となるデジタル庁の9月新設、マイナンバー活用拡大が柱で、政府・与党は今国会での成立を目指す。新型コロナウイルス禍で明らかになった「デジタル後進国」の汚名を返上できるかどうかが問われる。
 菅義偉首相は本会議で、感染拡大に伴う給付金支給などの際に混乱が生じたことを踏まえ、「行政、民間のデジタル化の遅れなど、さまざまな課題が浮き彫りになった」と指摘。「世界に遜色ないデジタル社会を実現する」と訴えた。
 法案の目玉はデジタル庁の設置だ。500人規模で発足させる予定で、優秀な官民人材の確保や育成が課題となる。首相は「民間から100人規模の高度な専門人材を迎える」と表明。「デジタル人材が国、自治体、民間を行き来することで、官民のデジタル化をダイナミックに進めていく」と述べ、人事交流に取り組む方針を示した。
 行政の縦割りにより、政府や自治体がシステムをばらばらに構築してきたことが、デジタル化の障害となっている。デジタル庁は政府の情報システムを統括し、関係予算を一括して計上。他省庁に勧告する権限も持たせることで、行政のデジタル化を迅速に進める。
 政府がデジタル社会形成の切り札と位置付けるのが、オンライン手続きに使うマイナンバーカードだ。2022年度末までにほぼ全ての国民に普及させる目標を掲げているが、今月7日時点の交付率は26.6%。取得を加速させるため、マイナンバーの利便性向上を図る。
 法案では、マイナンバーを医師免許など国家資格と連携させるほか、預貯金口座とのひも付けを促し、災害などの際に迅速な公的給付を可能にする。ただ、口座ひも付けには国民の抵抗感が根強いことから、本人の同意を前提とする。将来的な義務化も今後の焦点となりそうだ。
 多くの個人情報を取り扱うため、セキュリティー対策も重要となる。平井卓也デジタル改革担当相は、個人情報を分散管理することで「情報が芋づる式に抜き出せない仕組みだ」と説明。多くの民間人を登用することに関し、「重要な情報にアクセスできる職員を必要最小限に限定する」と語った。 (C)時事通信社