米英の製薬大手が新型コロナウイルス治療薬の臨床試験(治験)を、日本国内で月内にも始めることが12日、分かった。国が承認した治療薬は効果が限定的で、特効薬の登場が待たれている。これまではワクチンと比べ開発が遅れていたが、治験の本格化で加速しそうだ。
 米メルクが治験を始めるのは、米バイオ医薬品企業リッジバック・バイオセラピューティクスと共同開発した抗ウイルス薬「モルヌピラビル」。経口摂取用で、米国で実施した治験では、偽薬を投与された患者に比べ陽性率が低下したとの中間結果が出ている。
 英アストラゼネカは抗体医薬「AZD7442」の国内治験を開始する。回復したコロナ患者から採取した抗体を基に開発された。治療だけでなく、感染予防の効果も期待されており、米国などで治験が進んでいる。
 回復患者の血液からつくった血漿(けっしょう)分画製剤の国際共同治験も行われている。武田薬品工業が参加しており、国内では昨年12月に治験が始まった。
 治療薬では、米ギリアド・サイエンシズが開発した抗ウイルス薬レムデシビルが昨年5月に日本で特例承認された。ただ世界保健機関(WHO)は致死率などの改善効果が実証されていないとして、使用しないよう勧告した。富士フイルム富山化学(東京)の抗インフルエンザ薬アビガンについては、承認するかどうかをめぐって厚生労働省で審議が続いている。
 一方、ワクチンについては、日本国内でも米ファイザーの製品が既に承認され、接種が始まった。米モデルナやアストラゼネカも申請中で、遅れている日本勢も治験を進めている。 (C)時事通信社