【プーケット(タイ南部)時事】新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が激減し、経済が打撃を受けているタイで、入国者に義務付ける2週間の隔離をホテルの別荘型高級ヴィラやヨットで行う試みが進んでいる。外国人の来訪を阻む最大の要因となっている隔離をくつろぎながら過ごしてもらうことで、観光客を呼び戻す考えだ。
 南部のリゾート地プーケットに2月21日に到着し、「ヴィラ隔離」の第1弾として高級ホテル「シーパンワー」に宿泊していた欧米人グループ58人が今月8日、隔離を終えた。今後は自由にタイ国内を旅行できる。
 隔離の最初の5日間は自室内に滞在。その後はホテル敷地内のレストランやビーチ、フィットネスを利用できる。隔離の間、58人から感染者は出なかった。実業家の英国人男性(33)は「とても快適に過ごせた」と満足そうな表情を浮かべた。
 プーケット東方沖ではタイ到着後、小型クルーザーやヨットに2週間とどまる「ヨット隔離」を実施している。昨年10月に開始し、77隻の144人が隔離を済ませた。感染者は1人も出ていない。現在も3隻の19人が波止場から5キロ離れた海上で過ごしている。
 利用者は体温や血圧、心拍数などのデータのほか、全地球測位システム(GPS)による位置情報が把握できるスマート・リストバンドを着用する。リストバンドを開発したフローロー社のタナパット最高経営責任者(CEO)は「半径10キロまで通信可能。SOSも発信できる」と説明した。
 タイは国内総生産(GDP)の2割近くを観光業に依存するとされるが、外国からの観光客は2019年の3990万人から昨年は670万人に激減。政府観光庁は今年も650万人にとどまるとの見通しを示している。 (C)時事通信社